世銀JPO採用③: 最終面接

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前回の記事で世銀JPOの一次面接の対策や体験談についてお話しました。今回はシリーズ最終回,最終面接についてです。

最終面接に関する下調べ

一次面接の下調べと同様に,事前にJPOの先輩に色々教えて頂きました。

面接の形式

  • 面接官: 合計2-4人: 募集をかけた部門のマネージャー + TORに記載の業務に関わるシニアレベル職員
  • 場所: 世界銀行ワシントンDC本部 (現地に出向けない場合はWebex)
  • 時間: 30-40分

面接の内容

  • 最初は自己紹介
  • TORに書かれている専門的な業務を遂行できるか事細かに質問
  • CVに書かれている職歴の詳細について質問

一次面接とは異なり,一般的なよくある質問は全くなかったそうです。

 

面接の対策

自己紹介

面接の最初に求められる自己紹介の対策は一次面接と同様に,Present - Past - Futureの形で1~2分で話せる内容を構成し,何度も練習しました。詳しくは一次面接の記事を御覧ください。

質問への対策

私が行った主な対策は以下の2つです。

1. TORに載っている専門用語をピックアップし,それぞれの用語にまつわる自分の経験を説明できるようにする。

私のTORには「Machine learning, Econometrics, Household data, R/Python」などの用語が多く含まれていました。Household dataを例に取ると,私が過去にHousehold dataを使った経験について「何をしてどんな成果が出たのか・どんなスキルが身についたのか・何が難しくてどう乗り越えたか」を流暢に話す練習を行いました。

2. CVに書いてある職歴について,全て詳細に説明できるように準備する

私はTORに7つの職歴(インターン含む)を記入していたので,それら全てについて説明できるように練習しました。

対面面接の対策

私の場合一次面接がWebexでしたが,最終面接は普段働いているDC本部で対面形式でした。アメリカでの対面面接は初めてだったので,握手の仕方などYoutubeの動画で勉強しました。

またSTCの同僚とJPOの先輩に模擬面接を頼み,本番と同じような環境で自己紹介や質疑応答の練習をしました。これが非常に役に立ちました。

 

実際の最終面接

最終面接は2019年6月10日,ワシントンDCの世界銀行本部Jビルのミーティングルームで行われました。

書類選考の際に提出した履歴書とカバーレターを面接官に配るために5部ずつ刷って持参しました。

面接の流れ

  1. 面接官が待つ部屋にノックして入室
  2. マネージャーから面接の流れについて説明
  3. 面接官4人の自己紹介
  4. 各面接官から1つずつ質問
  5. 逆質問タイム

一般にアメリカの対面面接では力強い握手から始まるらしいですが,みなさん座ったままで,握手なしでそのまま進行していきました。また私の自己紹介の時間は特になく,面接は30分くらいで終わりました。

4人の面接官

私が応募したJPOのポジションはSTCとして雇用されていた部門と同じだったので,面接官のうち1人は当時の上司でした。

4人中3人の方はその場にいましたが,私の上司だけ出張中でWebexでの参加でした。

  • 男性: 西アフリカ担当のマネージャー
  • 女性: シニアエコノミスト (Webex): 私の上司
  • 男性: リードエコノミスト
  • 女性: 東アフリカ担当のマネージャー

一次面接の面接官と同様に,皆さんにこやかで話しやすい印象を受けました。

1つ目の質問

端的に"Why do you apply for this position?"と志望動機を聞かれました。自己紹介用に用意していた回答をスラスラと答えました。準備していてよかったと安心しました。

2つ目の質問

Econometricsの手法を用いた分析について,これまでの経験を聞かれました。この質問は事前に想定しており,対策も考えていました。修士論文として行ったインドの家計調査データを用いた経済分析について説明しました。自分でいうのはなんですが,修論にしては手間のかかったレベルの高い分析だったので,マネージャーが笑顔で頷いていました。

3つ目の質問

Machine Learningを用いた分析について,これまでの経験を聞かれました。こちらも想定内の質問でした。IBMで学生研究員をやっていた頃に行った研究について,データや手法など細かい所まで専門外の方でもわかるように説明しました。成果として論文を出し国際特許も出願したという旨を伝えた所,面接官の方々から驚きの歓声が湧きました。

4つ目の質問

「仕事でconflictがあった時,どのように解決したか」が最後の質問でした。専門的な質問ばかりされてると想定していたので,ありふれた面接の質問に対する答えは特別用意しておらず,質問された直後に少し考えました。結局,「普段の世銀での業務において,ゴリゴリの経済学出身のボスと,医学・工学のバックグラウンドも微妙に混じった私の間で,機械学習や統計処理に関して異なる嗜好があり,頻繁に議論しなければならない。根気強くコミュニケーションを取り続けることで解決している。」みたいな思いつきの回答をしました。かなりしどろもどろだったと思います。

逆質問タイム

「もし採用されたらいつから勤務がスタートするのか」だけ聞きました。これに対しマネージャーから具体的な返答がありました。

面接の感想

面接中,私も面接官も声を出して笑う場面があるくらいには終始雰囲気がよかったです。

最初の3つの質問は想定していたものだったので練習通り流暢に伝えることが出来ましたが,最後の質問に対しては流暢さのかけらもなかったので,その点だけ少し心配でした。

面接の後日談: なぜ採用されたのか

面接から2週間後にジョブオファーのメールを頂きました。のちに,なぜ私が採用されたのか伺ったところ「他の候補者より専門的な質問に対する答えが明確で,専門的な業務をさせるのに信頼が足りたから」ということでした。

本当に何度も何度も練習した甲斐がありました。

終わりに

以上がJPO採用の最終面接の対策と体験談でした。JPO採用のシリーズ記事はこれにて終了です。記事の内容について質問のある方はコメントやツイッターのDMをください。

世銀JPO採用②: 一次面接

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前回の記事で,世銀JPOの採用プロセスと書類選考対策について説明しました。

今回は一次面接について,行うべき対策,また私が経験した実際の面接を詳細に書いていきます。

ググっても絶対に出てこない内容なので,JPOに応募する方は是非参考にしてみてください。

面接に関する下調べ

一次面接がどういったものか知るために事前にJPOの説明会に参加したり,JPOの先輩に話を聞いたりしました。

面接の形式

  • 面接官: 世界銀行東京事務所に在籍する職員の方3~4人
  • 場所: 世銀東京事務所 (現地に行けない場合はWebex)
  • 時間: 20-30分程度
  • 言語: 英語

一般に,ビデオ面接より対面面接の方が相手の表情など見えてコミュニケーションが取りやすく,審査にも有利になります。説明会でお会いした現役JPOの方は「DCで働いてたけど一次面接のために日本に一時帰国した」と仰ってました。

面接の内容

  • 簡単な自己紹介から始まる
  • 面接官1人につき1つ,よくある一般的な質問をしてくる(苦労した経験など)

こちらはJPOの先輩に個人的に伺った話です。「1つの質問に答えたあと面接官から追加の質問があるわけでもなく,リアクションも特になかった。機械と話してるみたいだった。」と仰ってました。

 

面接の対策

自己紹介

どこの国の面接でも共通ですが,最初に簡単な自己紹介をするように言われます。いわゆる"Tell me about yourself"です。

面接時間はたったの20分なので,第一印象を覆えすことは難しいです。なので,最初の自己紹介で面接官に「あ,こいつできる!!」と思わせることが非常に重要です。私は以下の対策を行いました。

  • 1-2分で話せるように,Present - Past - Futureの形で自己紹介を構成する。
  • 話す内容のスクリプトを作成する。
  • スクリプトをネイティブに見せ,表現を直してもらう。
  • 一度も詰まらずに超流暢に自信満々な感じで言えるまで何度も練習する。

気が狂いそうになるほど練習しました。

質問への対策

質問への対策方法は,世銀の日本人の方が作成した面接対策資料WBG INTERVIEW GUIDE2018を熟読すること,これ一択です。こちらの資料には

  • Behavioral Interview
  • Panel Interview
  • Phone Interview

における注意点や頻出の質問,また準備の仕方など面接対策に必要な要素が全て入っています。この資料を熟読し

  • 頻出の質問に対して,SAR(Situation-Action-Results)で対応できるように予め回答の大枠を用意しておく。
  • 結論から言うことを心がける。
  • 頭の中で面接をイメージして独り言で何度も何度も練習する。
  • 誰かに頼んで模擬面接をする。

模擬面接は意外と大事です。独り言だったら上手く喋れるけれど,人が目の前にいると緊張して流暢に言葉が出ないことがあり得るからです。

ビデオ面接の対策

友人などに手伝ってもらい,本番と同じ環境を事前にセッティングすることをオススメします。私の場合,本番と同じ服装,部屋,パソコン,通話ソフト(Webex)を用意し,以下の点を確認しました。

  • 自分の表情が伝わり,かつ綺麗に見えるカメラの画角
  • 相手の声がイヤホンで問題なく聞こえるか
  • マイクで問題なく相手に声が届いているか

 

印象良くするために

「自信がありそうに見えること」 + 「この人と一緒に働きたいと思ってもらえること」が重要です。以下のポイントは必ず意識した方がいいです。

  • アイコンタクトを心がける。ビデオ通話ならカメラを見つめる。
  • 姿勢をよく保つ。
  • 喋るときは常に笑顔。常に爽やかに,にこやかに。
  • 予想外の質問がきても,絶対にポジティブな回答をする。

最後の点に関して,例えば面接官から「〇〇の経験はあるか?」と聞かれたとして,あなたに経験がなかったとしても,ポジティブに「まだその経験はないけど,採用されたら是非やってみたい。すごく興味があります。勉強したいです。」と回答すれば印象がよくなるはずです。

 

実際の一次面接

私の一次面接は日本時間2019年4月25日の朝9時からだったのですが,ワシントンDCにいたのでDC時間の4月24日夜7時からWebexで行いました。

面接の大まかな流れ

  1. 司会進行の方が日本語で面接時間などを説明したあと面接開始(ここから英語)
  2. 面接官の自己紹介
  3. 私の自己紹介
  4. 面接官3人が1つずつ用意していた質問を聞いてくる
  5. 逆質問タイム

全部で25分くらいだったかと思います。

3人の面接官

面接は3人の面接官の自己紹介から始まりました。皆さん50代くらいで,若い頃ワシントンDC本部で働き,その後東京事務所に移られた方々でした。

  • 男性: 公衆衛生が専門
  • 女性: 人事とLeadershipが専門
  • 男性: 金融が専門,世銀で20年以上勤務

面接官の皆さんは表情も口調も優しく,とても話しやすかったです。

私の自己紹介

練習通り超流暢に話すつもりだったのですが,いざ面接官を前にすると緊張して若干しどろもどろになりました。無事に用意していた内容は全て伝えられました。笑顔でカメラを見ながら話すことを終始心がけていました。

1つ目の質問

1つ目の質問は「JPOになったらTORに書かれているdutyを遂行する必要がありますが,あなたはできますか?」でした。

TORに書かれているdutyを1つずつ列挙しながら,私の職歴とスキルで遂行できることを丁寧に説明しました。自己紹介で話した内容とかなり被ってました。

2つ目の質問

2人目は女性の面接官の方だったのですが,用意していた質問の前に「興味本位なんですが,なぜ新卒でワシントンDCに来たのか気になってます」と笑顔で尋ねられました。世銀のSTCのポジションを偶然見つけた話を簡単に説明しました。

メインの質問は「仕事で難しい場面をどう乗り越えてきたか,具体的に教えて下さい」でした。 私からは「日々の仕事で専門の違う人に機械学習の手法や結果を説明するのが難しく日々苦労しているが,***して乗り越えている。」のような答えをしました。

3つ目の質問

3つめは「TORにある"データ分析"について詳しくないんですが,RCTなしでどうやって政策の効果を測定するんですか?」でした。

よくある一般的な質問だけ聞かれると想定していた私は,まさか専門的な質問が来るとは思ってもおらず,若干狼狽えました。が,普段から専門外の人に因果関係を調べる方法については説明する機会があったので,冷静に説明しました。ただ私が一方的に喋るというより,面接官の方と楽しく会話する形になっていました。

逆質問タイム

3つめの質問への回答が終わった後に司会の方が「もし質問があれば日本語でどうぞ」と仰ったので,「無事この面接をパスしたら次は最終面接が待っているのですが,今回の面接で私に不足している点や改善するべき点があれば教えて下さい」と聞きました。最強の逆質問として有名なやつです。以下の回答を頂きました。

「他の応募者たちはもっと練習している。あなたよりもっと流暢に堂々と話している。もっと練習したほうが良い。」

「緊張しているのが手に取るようにわかったから,緊張を和らげる方法を何か探したほうが良い。」

面接の感想

面接官の英語に関して,特にネイティブらしい表現があるわけでもなく,イントネーションも日本語訛りという印象でした。日本人の私にとっては聞き取りやすく好都合でした。

面接の雰囲気に関して,事前に先輩からは「機械のような面接」と伺っていたのですが,実際には意外と楽しく会話が弾みました。私が一次面接を通過できたのは,皆さんに「この人となら一緒に働きやすそう」と思ってもらえたからかもしれません。

反省点

  • TORとCV&CLを印刷して持って行くべきでした。TORの内容について聞かれた時すこし困りました。
  • よくある一般的な質問だけ用意するのではなく,自分の専門について専門外の人に分かりやすく伝える訓練をもう少し行えばよかったです。

 

終わりに

以上が世銀JPOの一次面接対策と,実際の面接の体験談でした。

こんなに詳細に面接について書いている記事は見たことないので,JPOに応募する方に役立てば嬉しいです。質問のある方はツイッターのDMで送ってください。

次回は世銀JPOの最終回記事,最終面接についてです。

世銀JPO採用①: 採用プロセスと書類選考

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前回の記事で,世銀のJPOがどういったポジションなのか説明しました。

今回から3回の記事に渡って,私が経験した世銀JPOの採用について書いていきます。まず今回は採用プロセスと書類選考についてです。実際のカバーレターも公開します。

JPO採用までの流れ

応募から採用までに4つのステップがあります。

  1. ウェブエントリー
  2. 書類選考: 履歴書(CV)とカバーレター(CL)
  3. 一次面接 (世銀東京事務所の職員と面接)
  4. 最終面接 (DC本部のHiring Managerと面接)

倍率

私が上司から聞いた話ですが,毎年倍率は以下のような感じらしいです。

  • 書類選考: 大体30人応募で10人通過
  • 一次面接: 10人中3人通過
  • 最終面接: 3人中1人だけジョブオファーを頂く

私の経験: 2019年の採用日程

2019年 イベント
1月某日 世銀ホームページの募集要項を確認
2月14日 ウェブエントリー
2月18日 世銀からメール - 書類選考(CVとCL)の案内
3月28日 CV&CL提出
4月12日 世銀からメール - 書類選考の合格通知
4月18日 世銀からメール - 一次面接の日程通知
4月25日 一次面接 (Skype)
6月4日 世銀からメール - 一次面接合格通知
6月10日 最終面接 @DC本部
6月27日 Job offerメール
9月3日 勤務開始
 

最初のエントリーからジョブオファーを頂くまで約4ヶ月かかりました。各4つのステップの間はそれぞれ1ヶ月ほど時間が開いていたので,十分に準備する時間がありました。ただ,一次面接の合格通知から一週間後に最終面接があると知らされた時はかなり焦りました。

採用で重要視されるポイント

専門性です。募集要項(TOR)に書かれている専門的なスキル・経験を満たしているかどうか,専門的な業務を遂行できそうかどうか,これらが最も重要視されます。

私が応募したTORはこちらです。

CVとCLの対策

履歴書(CV)は所定の形式のWordファイルを埋める必要があります。埋める項目は一般的なCVと大きく変わりないです。一方でCLは自由形式ですが,A4一枚で書くのが一般的です。CVとCLの書き方はググれば無限に記事が出てくるので,特に意識すべき項目だけお伝えします。

誰が書類審査を行うのか?何を意識して書くべきか?

書類選考の審査を行うのは東京事務所にいる日本人(複数)です。審査員の専門分野はバラバラで,あなたの応募する枠の専門的な業務を理解しているわけではありません。したがって,書類審査の判断材料は「TORに記載された専門性とあなたの専門性がどれだけ一致しているように見えるか」です。なので「TORで用いられている専門用語を積極的にCVとCLの中に取り入れること」が非常に重要になってきます。そうすることで審査員の方も「この専門よくわかんないけどTORとCVで同じ専門用語使われてるし,この人合ってるかも」となるはずです。

何度も添削してもらうこと

CVとCLを書いた後,色んな人に見てもらい,フィードバックを貰うことをオススメします。私の場合データ分析のポジションへの応募だったのですが,以下の方々にTORとCV&CLを読んでもらいフィードバックを貰いました。

  • データサイエンティストの友人
  • 欧米大企業の人事の経験がある友人
  • 世銀のSeniorレベルの上司
  • ネイティブの友人の英語チェック

私の履歴書

個人情報満載の実際の履歴書をここで公開するのは気が引けるので,職務履歴に何を書いたのか表にしました。表を右側にスライドできます。

会社 場所 ポジション 期間 業務/成果
世界銀行 ワシントンDC STC 1年 機械学習と衛星画像を用いたスラムの推定
某小売大手 東京 業務委託 1ヶ月 社内データサイエンティストチームに対する機械学習の講習
IBM Research 東京 学生研究員 1年 高齢者の会話データから認知症の兆候を発見する研究,論文執筆・特許出願
慶應義塾大学 東京 リサーチアシスタント 3年 インドの家計調査データを用いた研究
某5大商社 東京 インターン 3週間 ニューラルネットを用いた電力市場の価格予測
IBM Singapore シンガポール インターン 1ヶ月 部品調達の最適化問題の設定とアルゴリズムのコーディング
Oakland Digital サンフランシスコ インターン 1ヶ月 ウェブサイトの立ち上げ支援: 広報・カメラマン

私は大学院を卒業してからフルタイムでの実務経験が1年しかなかったのですが,JPO最低条件の実務経験2年を満たすために,リサーチアシスタントやインターンなどパートタイムの経験も加えることで,実務経験の欄を膨らませました。

実際の業務・成果を書く欄には,データや手法など専門用語を使い詳しく記載しました。

私のカバーレター

カバーレターは個人情報を隠して公開します。こちらです。大きく分けてパラグラフは4つ,以下の構成です。

  • 志望動機 +「私を採用しなきゃ損するよ」くらいのニュアンスの自信
  • 経験その1: 修士課程における研究
  • 経験その2: IBMにおける研究
  • 経験その3: 世銀のSTCとしての業務と成果

TORに家計調査データの解析や機械学習などに関する記載があったので,特にそれらを意識して書きました。

おまけ

  • MindSumo
    • 他人のCLが大量に見られるウェブサイト。World Bankと検索すれば幾つかでてくる。
  • Udemy
    • CV/Resume, Cover Letter: get into the United Nations
  • 国際機関に特化したキャリアコンサルタントがカバーレターを添削してくれるサービスがあると聞いたことがあります。探してみてください。

終わりに

以上が私の世銀JPOの採用プロセスと書類選考対策でございました。何か履歴書やカバーレターについて質問のある方がいらっしゃれば,ツイッターのDMでご連絡ください。

次回の記事ではJPOの一次面接について書いていきます。

世銀のJunior Professional Officer (JPO)って何?

2018年から世界銀行で非正規雇用(Short-term Consultant)として勤め始めた私ですが,実は2019年にジュニア・プロフェッショナル・オフィサー (Junior Professional Officer: JPO)の選考を受けて無事合格し,同年9月から晴れて(準)正規雇用になりました。

今回の記事では,世銀のJPOがどういったポジションなのかについて書いていきます。

次回から私が経験したJPOの選考プロセス面接対策面接の内容について書く予定です。

 

前提知識: 世銀の構造

前提知識として必要な世銀の構造について説明します。

出資金と理事会

世銀は加盟している先進国から出資金を集め,その資金を発展途上国に融資・贈与することを主な任務としています。この任務を遂行するのは,出資国から集まった理事で構成される理事会と呼ばれる組織です。理事会の構成メンバーは投票で決まるのですが,その投票権は1国1票ではなく,出資国の出資額に応じて配分されます。つまり,沢山出資してる国ほど世銀の運営に対して力を持つ,ということです。2019年の国別の出資金割合を見てみると,日本はアメリカに続き世界2位です。したがって,理事の選挙において日本は多くの投票権を持っているということです。

世銀の財政構造 (出典: 世界銀行と日本>

出資金と職員数

一方で,世銀で働く職員の数を見てみると,出資額に応じたものとはなっていません。実際,日本は出資額2位にもかかわらず,日本人職員は全体の約1%程度です。出資額と職員数が比例していない国は日本だけではなく,他にもドイツや韓国など数ヶ国あります。そういった国々の「沢山出資してるんだから,うちの国民を特別枠で世銀の職員として受け入れてよ」という声に応えるための制度の1つがJPOです。

JPOの概要

JPOというのは「世銀への出資額が多いのに職員が少ない国が,専門性のある自国の若手人材を世銀職員として送り込み,国際機関での就業経験を積ませ,将来的に世銀に残り続けられるような人材を育てるシステム」です。日本を例とした概要図がこちらです。

JPOは完全なる世銀の正規職員というより,トレーニングの意味も含んだポジションなので,「JPOは正規職員とは言えない」という人も中には居ます。正直どっちでもいいですが,待遇は完全に正規職員と同じです。

契約期間

契約期間は2年 or 4年です。少なくとも最初の2年間は保証されています。2年後の契約終了時に所属している部門のマネージャーがパフォーマンスを評価し,契約延長かどうか判断します。

契約が延長された場合は,JPOの期間がプラス2年伸びます。最大4年です。

自国からのサポート

最初の2年間は自国政府がJPO職員の金銭的サポートを行います。給料自体は世銀職員の給与体系がベースですし世銀のシステムで振り込まれますが,給料の源は自国政府の税金です。

世銀本体の資金源から給料が支払われるわけではないので,世銀としては労働力をタダで手に入れられてラッキーと言えます。

2年後に契約延長が決まった場合は,3年目の給料は世銀の予算から支払い,4年目はまた自国政府が支払う,というトリッキーな仕組みです。

待遇

給与

世銀本部の給与体系は以下の表のようになっています。職員は下っ端から総裁までグレードが割り当てられ,そのグレードに対応した給与が支払われます。専門職はAnalystレベルのGEから始まります。次がProfessionalレベルのGFです。JPOはこのGEとGFの間あたりです。ちなみにGGがSenior,GHがManager,GIがDirectorという感じです。平社員(GE/GF)でも手取り年収1200万円くらいです。

給与以外の手当

本部のワシントンDCに勤務する職員がアメリカ人でない場合,「遠くの国から来てくれてご苦労さま」的なニュアンスの手当て Mobility Premiumを最初の5年間頂けます。2019年での支給額は家族構成によって異なり以下となります。

  • 本人のみ: $18000
  • +配偶者: $26500
  • 3人家族: $33000
  • 4人家族: $40000

年金・健康保険

共に加入できます。健康保険はプラン次第ですが月々の掛け金は$100程度ですし,毎月支払う年金も退職後に全て返ってくるので良心的です。

JPO職員に求められていること

自国政府はJPO職員が将来的に世銀に残り続けられる人材になることを期待しています。

残り続けるためには,まず就業から2年後の契約延長にまで漕ぎ着けなければなりません。そのためには2年間で世銀での業務を学び,組織内でコネクションを広げ,最大限パフォーマンスを発揮する必要があります。しかしながら,契約延長するには世銀が身を切って予算から3年目の給料を支払う必要があるので,そう簡単に契約延長してもらえるわけではありません。

また,契約がプラス2年延長されたとしても,ただ過ごしているだけでは4年目の契約終了時にクビになってしまいます。したがってプラス2年の間に所属部門か他部門の正規職員のポジションに応募し,組織内で職を得て,自力で残り続ける必要があります。

なかなか厳しい世界です。

JPOの募集

募集のプロセス

募集は1年に1度 2-4月からスタートします。この機会にJPOを採用したい世銀の部門は,業務内容と求めるスキルなどを記した募集要項(Terms Of Reference: TOR)を作成します。TORは先程説明した「世銀への出資額が多いのに自国職員が少ない国」約15ヶ国にランダムに配布されます。したがって,1つの募集枠には1つの国にのみ割り当てられるため,同じ国籍の人材同士が各枠を争うことになります。各国の世銀支部はこの配布されたTORをもとに採用活動を行っていきます。

ちなみに2019年のJPO公募の日本人枠は6枠でした。私の応募したTORはこちらです。

 

募集職種

募集職種は完全に募集する部門次第なので毎年異なります。 2019年度の日本人6枠は以下です。

  • 貧困分析: 家計調査のデータ解析 (私が応募したやつ)
  • 信託基金業務: 資金調達の分析
  • エネルギー: 融資プログラムのモニタリング補佐
  • 経済分析: 女性の労働参加などの分析
  • 教育: 教育プロジェクトのサポート
  • 交通: 交通のデータ・リサーチや分析

 

応募条件

ざっくり言うと「修士号を持ってる若手で2年以上実務経験がある方」です。

2019年度の募集ホームページには以下の7点が応募条件として記されています。

  • 世界銀行の各職種に関連する分野で修士号(MBA、CFAを含む)を保有する方
  • 募集職種が定める必要とする実務経験を持つ方
  • 英語で職務遂行可能な方
  • 日本国籍を持つ方
  • PHRDスタッフグラントなど過去に日本政府の支援を受けたことがない方
  • 年齢:2019年4月1日現在で35歳以下の方
  • 2年以上の関連分野での実務経験

 

終わりに

以上,JPOについての大まかな説明でした。記事中の間違いなど見つけた方はコメントやツイッターで教えて頂けると幸いです。

次回から私が経験したJPOの選考プロセス面接対策面接の内容について書きたいと思います。

エコノメの資料『俺の計量経済学』をシェアします。

https://drive.google.com/file/d/1IntNXNvGN5cxN7DIAEzNHtmxE7aAVBJL/view?usp=sharing

久しぶりのブログです。皆さんにクリスマスプレゼントです。
私が慶應でエコノメの修士課程にいた頃に,自分の修士論文のために書き溜めた資料『俺の計量経済学』を公開します。
計量経済学の各手法の背景にある数学的な理論を,ゴリゴリ一人で証明したものの纏めとなっています。

『俺の計量経済学』はこちらをクリック

誤字脱字,証明の間違いなどがあればコメントやツイッターで教えて下さい。

Academic Journal はジャーナル名が長いほどスコアが低いのか?

前回,「大学の学部/学科名が短いほど偏差値は高いのか」という検証記事を書いたところ,こちらが割と好評で1000PVに達しました。まだ読んでない方は是非ご覧ください。

この記事に関してツイッターで「これって学術ジャーナルの名前の長さとジャーナルのスコア(impact factorとか)にも当てはまるんじゃね?」という旨のコメントを頂きました。

確かに,NatureやScienceなどを筆頭に短い名前のジャーナルはスコアが高い一方で,最近できたばかりのスコアの低い雑誌は長いタイトルのものが多い気がします。

今回はこのアイデアをお借りして,「ジャーナル名の長さとスコアの関係」をジャーナルの分野を考慮に入れながら検証していこうと思います。

 

検証データ

検証のデータとして,SCImago Journal Rank (SJR)というスコアを用います。こちらのスコア,なんとウェブから全ジャーナル分のデータがcsvで取得可能となっています(嬉しい)。

本当はジャーナルのスコアとして最も有名なimpact factorを用いたかったのですが,データが手に入りませんでした。ただ,今回用いるSJRは,指標として欠陥の多いimpact factorの代替指標として作成されたものらしいので,良しとします。

 

データの前処理

分野ごとにスコアの分布やジャーナル名の長さの傾向が異なる可能性があるので,ちゃんと分野の変数を作りました。前処理は以下のステップです: 

  1. ジャーナルのTypeを"journal"のみに指定
    • 生データから,学会proceedingsや本シリーズ?など純粋なjournalではないものを除去
  2. ジャーナルの分野を表す変数(文字列)が汚いので綺麗にする
    • あるジャーナルが複数の分野に当てはまる場合,分野を表す変数には"Chamistry; Mechanical Engineering"みたいな感じで入っているので,文字列を分解する
    • 1つのジャーナルが2つの分野に属してる場合,2つの別のジャーナルとして扱う
  3. ジャーナルのタイトルの単語数をカウントし,それをジャーナル名の長さとする
    • コロンやカンマなどの単語はカウントしない

加工したデータからランダムに100ジャーナル抽出したのがこちらです。

Title Categories SJR num_words Country SJR Best Quartile
Professions and Professionalism Education 331 3 Norway Q3
Magyar Sebeszet Medicine (miscellaneous) 105 2 Hungary Q4
Papers on Global Change IGBP Geophysics 105 5 Germany Q4
Pharmacogenetics and Genomics Genetics (clinical) 808 3 United States Q3
Trends in Ecology and Evolution Ecology, Evolution, Behavior and Systematics 7816 5 Netherlands Q1

 

最後の変数であるSJR Best Quartileは,スコア(SJR)の四分位点です。つまり,全てのジャーナルを,スコア(SJR)が高い→低い順に並べた時に,最初の25%がQ1, 次の25%がQ2といった感じです。

分野別のジャーナル数

完成したデータは全部で,55160ジャーナル,分野は309種類です。分野別にジャーナルの数を見ると,圧倒的に医学系[Medicine(miscellaneous)]のジャーナルが多いことがわかります(下図)。

 

全部の分野に目を通すのも大変なので,ここからは最もジャーナル数の多い Medicine(miscellaneous) のみに着目して,ジャーナル名の長さとスコアの関係を見ていきます。

 

医学系ジャーナルでの検証

回帰分析と差の検定の2種類の分析を行ってみます。

回帰分析

Medicineのジャーナルのみを用いて,「ジャーナル名の単語数」と「対数化したスコア(SJR)」間の相関係数を計算し,単回帰分析を行いました。スコアは分布が偏っていたので,対数化しました。

結果は下の図です。相関係数と回帰係数から,負の関連が認められます。また,回帰係数から「ジャーナル名の単語数が1つ増えると,スコアが5.9%低い」と解釈できます。(対数化すると,回帰係数が変化率と解釈できるため)

 

 

スコアクラス間の平均単語数の比較

次に,スコアのクラスを表すSJR Best Quartileを用いて,4つのクラス(Q1~Q4)間のジャーナル名の単語数の平均値の差を見ていきます(Bonferroni補正によるウィルコクソン順位和検定)。結果は以下の通りです。

Q1(超良い)とQ4(超悪い)に注目すると,その差は1.37なので,「とてもスコアの高いジャーナルは,とてもスコアの低いジャーナルに比べて,ジャーナル名が平均で1.37単語少ない」と解釈できます。

 

終わりに

医学系ジャーナルにおける,ジャーナル名とジャーナルのスコアの関係について統計的に調べました。結果としては,「ジャーナル名が長いほど,ジャーナルのスコアが低い」という関連を確認することができました。

ジャーナルの名前が長いほど,研究分野がより細かくなり,その分引用されづらくなり,結果としてジャーナルのスコアが低くなるということが推測できます。

今回は医学系だけ用いたのですが,データが簡単に手に入るので,皆さんも他の分野で検証してみてはいかがでしょうか。

 

Rのコード (生データの前処理)

library(dplyr)
library(stringr)
library(tidyr)
library(magrittr)

data <- read_csv("scimagojr 2018.csv")

# Pick up only "Journal"
data %<>%
  filter(Type == "journal", 
         !is.na(SJR))

# Break Category variable into several variables
data %<>%
  mutate(Categories = str_split(Categories, "; ")) %>%
  unnest(Categories) %>% 
  mutate(Categories = str_remove_all(Categories, " \\(Q\\d\\)"))

# Count number of character in title
stop_words <- c(",", "-", ":", "/", "\\[")
data %>%
  mutate(word = str_split(Title, " ")) %>%
  unnest(word) %>% 
  filter(!(word %in% stop_words)) %>%
  group_by(Title, Categories, SJR, `SJR Best Quartile`, Country) %>% 
  summarise(num_words = n()) %>%
  ungroup() %>%
  arrange(Categories) %>%
  select(Title, Categories, SJR, num_words, Country, `SJR Best Quartile`) -> SJR_data

 

 

 

大学の学部/学科名が短いほど偏差値は高いのか,を検証してみた

私が修士課程にいた頃,ある先生が「伝統的な大学で伝統的な学問をやってる所は学部と学科の名前が短いよね。最近できたばかり大学の学部は,横文字が入ったりして学部名がやたらと長い。」と仰ってました。

たしかに,旧帝大などの偏差値が高く由緒ある大学には「医」学部や「経済」学部など1,2文字の学部が目立つ一方で,歴史が浅く偏差値が低めの大学では「〇〇コミュニュケーション」学部や「〇〇こども教育」学部のように文字数の多い学部が目立つ印象があります。

今回は東進のホームページから各大学の偏差値などの情報を勝手にスクレイピングし,「大学の学部/学科の文字数」と「偏差値」の関係について簡単に分析してみました。

検証方法

データセットの作成

東進のウェブサイトの情報を利用します。様々な予備校のサイトがある中で,東進を選んだのは (1)学部名が省略されていない (2)スクレイピングしやすいサイトの構造をしている,という理由からです。

東進のサイトでは入試別に,国公立前期,国公立後期,私立の3タイプで大学偏差値が分類されていますが,今回は国公立前期私立のみ用います。

f:id:shinmee:20200519203046p:plain
偏差値一覧の一部

Rのrvestパッケージを用いて,国公立前期と私立に属する全大学の各学科,各学科の名称と偏差値をスクレイピングしました(コードは末尾に掲載)。

データ数は国公立前期が1146私立が2745となりました。

得られたデータに対し,学部と学科の文字数をそれぞれ以下のルールでカウントしました:

  • 漢字は平仮名に直さず,そのままカウントする
  • 中黒「・」は1文字とカウントする(例:「化学・バイオ工」学科は7文字)
  • 学科が空欄の場合は,学科の文字数は0文字とする (全体の約3%)
  • スペースは文字列から除く

最終的に,学部名と学科名の文字数を足し合わせ,その数を「学部学科 文字数」として用いました。

できあがったデータセットからランダムに100サンプル抽出したものがこちらになります。

偏差値 タイプ 大学名 学部名 学科名 分野 文字数
74 国公立前期 東京大学 理科三類 医学・薬学・歯学系 4
73 国公立前期 東京大学 文科一類 法・経済・経営・商系 4
72 国公立前期 東京大学 文科二類 法・経済・経営・商系 4
72 国公立前期 東京大学 文科三類 文・人文・人間系 4
72 国公立前期 京都大学 医学・薬学・歯学系 2

分析方法

国公立前期と私立の偏差値を同列に扱うことができないので,別々に分析を行いました。

それぞれ国立大前期,私立に対し,学部学科文字数と偏差値の関係を可視化し,単回帰分析を行いました。

検証結果

国公立前期の結果

Plotlyを用いて描いたjitter plotが下図です。パソコンからの閲覧であれば,カーソルを各点に合わせるだけで大学の情報が見えます。

図から,「学部学科の文字数が短いほど,偏差値が高い」という相関関係が読み取れます。

単回帰分析の結果,決定係数は0.11で,回帰係数は-0.48でした。つまり「学部学科の文字数が1文字少ない,偏差値が0.48高い」と解釈できます。

f:id:shinmee:20200520003030p:plain

推定値 t値
相関係数 -0.33
単回帰:切片 61.57 212.82
単回帰:傾き -0.48 -11.97

私立の結果

下の図と表から,私立でも文字数と偏差値の負の相関が見られます。しかし,国公立と比較すると,私立の方は関連の大きさが小さく,また回帰の当てはまりも悪いです(決定係数0.02)。

学部学科の文字数にかかわらず,偏差値が散らばっていることに起因していると考えられます。つまり,最近できた偏差値の低い大学にも短い名称の学部があるし,偏差値の高い大学にも長い名称の学部があるということです。

f:id:shinmee:20200520003105p:plain

推定値 t値
相関係数 -0.12
単回帰:切片 57.11 228.7
単回帰:傾き -0.21 -6.50

終わりに

検証の結果,特に国公立の大学で「大学の学部/学科名が短いほど偏差値は高い」傾向が見られました。

本当にどうでもいいことを検証したような気がしてますが,おそらく誰も検証したことなかったことだと思うので満足してます。

色々と考察ができそうですが,皆さんの想像におまかせします。

Plotly楽しい。

Rコード

東進のウェブサイトからのスクレイピング

library(rvest)
library(dplyr)
library(stringr)
library(tidyr)
library(magrittr)
library(readr)
library(purrr)
library(ggridges)
library(ggplot2)
library(plotly)
# url <- read_html("https://www.toshin-hensachi.com/?line=2&university_type=3")

result <- NULL
for(UNIV_TYPE in 1:3){
  for(i in  1:100){
    
    cat(UNIV_TYPE, i, "\n")
    url <- paste0("https://www.toshin-hensachi.com/?line=2&university_type=", 
              UNIV_TYPE, 
              "&sort=deviation&direction=desc&page=",
              i)
    
    url_html <- tryCatch(read_html(url), 
                     error = function(e){"error"})
    
    if(url_html == "error"){
      break
    }
    
    url_html %>% 
      html_table() %>%
      tibble() %>%
      unnest() %>%
      rename(deviation = "偏差値",
             univ_info = "大学情報") %>% 
      separate(univ_info, into = c("field", "empty1", "empty2", "univ_faculty_dept"), sep = "\n") %>%
      mutate(univ_faculty_dept = ifelse(str_detect(univ_faculty_dept, "偏差値"), empty2, univ_faculty_dept), 
             univ_faculty_dept = str_replace_all(univ_faculty_dept, "  ", "")) %>%
      separate(univ_faculty_dept, into = c("univ", "faculty_dept"), sep = " ") %>%
      separate(faculty_dept, into = c("faculty", "dept"), sep = "/") %>%
      select(univ, faculty, deviation, dept, field) %>%
      mutate(univ_type = case_when(UNIV_TYPE == 1 ~ "国公立前期",
                                   UNIV_TYPE == 2 ~ "国公立後期",
                                   UNIV_TYPE == 3 ~ "私立")) %>%
      bind_rows(result, .) -> result
  }
}

result %<>%
  mutate(dept = ifelse(is.na(dept), "", dept),
         fac_letter = str_length(faculty),
         fac_dept_letter = str_length(faculty) + str_length(dept)) %>%
  select(univ_type, univ, faculty, dept, fac_dept_letter, deviation, field) %>%
  rename(`偏差値` = deviation,
         `タイプ` = univ_type,
         `大学名` = univ,
         `学部名` = faculty,
         `学科名` = dept,
         `分野` = field,
         `学部学科 文字数` = fac_dept_letter) %>%
  filter(`タイプ` != "国公立後期")

Plotlyを用いたjitter plot


result %>%
  filter(`タイプ` == "国公立前期") %>%
  mutate(`大学` = paste(`大学名`, `学部名`, `学科名`, sep = " ")) %>%
  ggplot(aes(x = `学部学科 文字数`, y = `偏差値`)) +
  geom_jitter(aes(group = `大学`, color = `分野`), size = 0.9, alpha = 0.5, height = 0, width = 0.25) +
  # geom_violin(aes(group = `学部学科 文字数`)) +
  geom_smooth(aes(group = 1), method = "lm") +
  facet_wrap(~`タイプ`, scales = "free") +
  scale_x_continuous(breaks = seq(0, 25, 2)) +
  scale_y_continuous(breaks = seq(40, 80, 4)) +
  theme_bw(base_family = "HiraKakuPro-W3") +
  theme(panel.border = element_blank(),
        axis.line = element_line(color = "grey50", size = 0.2),
        axis.text.x = element_text(size = 8),
        axis.text.y = element_text(size = 8),
        axis.title.y = element_text(size = 9, margin = margin(t = 0, r = 10, b = 0, l = 0)),
        axis.title.x = element_text(size = 9),
        strip.background = element_blank(),
        strip.text = element_text(size = 9, face = "bold"),
        axis.ticks = element_blank(),
        panel.grid.major = element_blank(), 
        panel.grid.minor = element_blank(),
        legend.title = element_blank(),
        legend.position = "bottom",
        legend.text = element_text(size = 8),
        legend.spacing.x = unit(0.05, "cm"),
        legend.key.size = unit(0.2, "cm")) +
  labs(x = "学部学科 文字数",
       y = "偏差値") -> public
public <- ggplotly(public, originalData = FALSE) 

世界銀行の雇用形態の1つ Short Term Consultant (STC)とは

前回の記事で世界銀行に入行するまでの経緯をお話ししました。記事を読んだ方は,「新卒といえど,世界銀行だからきっと良い待遇で雇ってもらっているんだろうなぁ」と思ったかもしれませんが,答えはです。

正規の職員の待遇は非常に良いのですが,私の現在の雇用形態であるShort Term Consultant (以下 STC)は,決してそうではありません。STCは給料をもらえる雇用形態の中で最も職位が低く,残念なポイントも非常に多いのです。

今回はこのSTCにおける,契約形態や待遇,労働環境などについて話したいと思います。

※STCの待遇の悪さを以下に挙げていきますが,私自身は今の環境に大きな不満はなく,自分のボスも大好きなので,惨めな思いをして働いているわけではないことをご了承ください。

 

2つの雇用形態: StaffとConsultant

世銀の雇用形態は大きく2つに分けられ,StaffConsultantがあります。一言で違いを表すと,Staffは正規職員(強い),Consultantはプロジェクトベースの一時的な契約職員(弱い)というイメージです。STCはConsultantの一種です。

基本的にStaffとConsultantどちらの形態でも契約期間があり,永久的に雇われる保証はないのですが,契約形態や待遇に天と地の差があります。

 

STCの契約形態

契約形態

基本的にプロジェクトに属する形の契約形態になります。プロジェクトのリーダーが,STCのボスになります。

形態としてFull-timeとPart-timeの2種類があります。Full-timeは毎月少なくとも18日働く必要があり,Part-timeにはそのような制限はありません。私は今年度Part-timeです。

STCの残念ポイントその1Part-timeの契約の場合,ビザの関係(?)で3ヶ月に1度アメリカから出て入国の記録を書き換える必要がある。

このクソルールのせいで,何の用もないのにアメリカからカナダに出国して戻ってきたりする人もいます。自腹です。ちなみに私は今のところ3ヶ月ごとに日本に帰っています。

STCの残念ポイントその2Part-timeの場合,外国国籍の人間はワシントンDCで運転免許が取れない。

アメリカ市民権を持たない人がアメリカで免許を取得する際に必要なStatementを,世銀に発行してもらう必要があるのですが,Part-timeの人には発行してもらえません。Full-timeは発行してもらえます。幸い,私は以前Full-timeだったので取得できました。

契約期間

STCの一番の特徴が契約期間の制限です。

STCの残念ポイントその3Full-time,Part-timeどちらの場合も,年度内の労働日数の上限が150日

「平日はフルで働き,休日は休み,有給も貰う」という一般的な働き方をした場合,1年間の労働日数はおおよそ250日ですが,STCはその60%である150日しか働くことを許されていません。厳密に言うと,「150日しか働けない」というより「150日以上働いたとしても150日分までしか申告できない」です。

契約したプロジェクトの期間がそもそも短く,契約期間も150日以内の場合には何の問題もないですが,通年のプロジェクトに属して1年間フルで働く人にとっては大きな問題です。

 

お金回りの話 (待遇など)

給与と待遇

STCの給与は日給制です。学歴や職歴に応じて$200-$800の幅で日給が決まります。私のような若いSTCでも一応「物価の高いDCで贅沢はできないが,普通に生きていける」くらいの給与は貰えています。

家賃補助はStaffであっても基本的には出ません。

STCの残念ポイントその4健康保険に入れてもらえない。

Staffの場合には健康保険への加入がBenefitとして付いてくるのですが,STCの場合にはSTC用の健康保険にわざわざお金を払って加入する必要があります。STCが最も憤慨している問題です。

税金

Staff, Consultantにかかわらず,所得税は完全に支払い免除です。勤務国にかかわらず,世銀から給与をもらっている場合は,どこにも所得税を払う必要がありません。世銀だけでなく他の国連機関も同様で,国際連合の特権及び免除に関する条約で定められています。

STCにとっては,唯一の嬉しいポイントです。

 

昇進と解雇

昇進チャンス

業務の評価によらず,自動的に昇進するというチャンスは一切ありません。STCでいる限りは一生STCです。ConsultantからStaffに昇進するためには,公募のポストに応募し,パスするしか方法がありません。

厳しそうに聞こえますが,STCは世銀のプロジェクトの知識があり,内部での人脈もあるので,公募の競争の際は外部の人より有利であるように感じます。実際そういう方は沢山いて,「最初はSTCで,その後Staffのポストに応募し,現在もなお世銀で働いている」という日本人を今まで多く見てきました。

また,内部の人しか見られない世銀の求人情報システムがあり,そこにSTCより条件の良いコンサルタント (Extended Term Consultants: ETC)の募集もあるので,外部の人よりはチャンスが多いです。

解雇

STCは非常に弱い立場にいて,雇用契約上,契約期間の最中であろうと突然クビを切られる可能性があります(実際にクビ切られてる人は見たことありませんが)。一方でStaffの場合,契約期間中にクビを切られることは基本的にありません。

 

業務の環境と内容

業務の環境 (デスクやPC)

STCの業務環境は,完全にプロジェクト次第です。世銀は何でもかんでもお金のかかる組織で,業務用のパソコンを1台借りるのも,デスクを借りるのも,プロジェクトが世銀に利用料を支払う必要があります。ちなみにパソコンは1日あたり$20かかるそうです。ですので,契約を結んだプロジェクトの予算が潤沢な場合,パソコンもデスクも用意してもらえます。予算がない場合,家やカフェで自分のパソコンを用いて作業をしなければいけません。

ちなみに,私は広いデスクにデスクトップパソコンとディスプレイを2個も用意して頂いており,大変大満足環境です。

f:id:shinmee:20200519203042j:plain:w400
私のデスク

 

業務の内容

こちらも完全にプロジェクト次第です。例えば,プロジェクトのボスが冷徹で理解のない場合,単調で非生産的な雑用ばかり任されている人もいます。一方で,実際に開発の現場に行くプロジェクトを任されたり,直接政策に活かされるような研究をしたりと,やりがいのある楽しい仕事をしている方もいます。

私の所属しているPoverty and Equity Global Practice (貧困解析部署)の場合,研究することが主なプロジェクトなので,STCの業務内容もデータの解析が多くなります。私は良いボスに恵まれ,毎日楽しく仕事ができています。

 

STCにはどんな人がいるのか

年齢層

Staff(正規職員)は30代以降がほとんどですが,STCには私のような20代の若い人間もいれば,50歳を超えた方もいるので,年齢層はかなり広いです。

学歴

部門(Global Practice)によって傾向が違うと思います。私の所属する貧困解析部署は研究部門なので,博士号取得者のSTCが大多数を占めている印象です。一方で,オペレーション系のプロジェクトの多い部署には,修士号のみのSTCも多くいますし,たまに学士卒の方もいます。

中卒の天才エンジニアがコンサルタントになったという記事もあるので,STCには学歴というより専門性の方が求められているのかと思います。

 

STCで雇用されるには

世銀ではStaffのポストの求人は公募で行いますが,Consultant (STC, ETC)はプロジェクトのトップの人間が自由に予算から雇うことができます。プロジェクトとしては,優秀な人間を面倒なプロセス抜きで雇用できるわけです。雇ってもらう側としても,公募の厳しい競争で敗北するリスクがないのでラッキーと言えます。

STCで雇用されるためには,プロジェクトのトップとの人脈があり,かつ,プロジェクトに必要な専門性をアピールできる必要があります。私の場合,プロジェクトのトップと直接知り合いではなかったのですが,偶然チャンスが巡って来た際に専門性をアピールすることができて,雇用して頂けました(詳細は前回の記事)。

 

STCのメリットとデメリットまとめ

メリット

  • 所得税を支払う必要がない
  • 世銀のStaffのポストに応募する際,アドバンテージになる可能性がある

デメリット

  • 3ヶ月に一度,自費でアメリカから出国する必要がある (part-timeの場合)
  • 運転免許を取れない (part-timeの場合)
  • 1年に150日しか働けない
  • Benefitとして健康保険がない

 

終わりに

今回は,STCの待遇や労働環境についてお話ししました。STCについて日本語でここまで詳しくまとまっている記事は見たことないので,世界銀行に興味のある方は是非参考にしてください。

「もしSTCの冷遇っぷりについて事前に知っていたら,世銀に来るのをやめていたか?」と聞かれることがあるのですが,実は事前にGlassdoorを読んで評判の悪さについては知っていました。実際に来てみると評判通りだったので笑うしかありませんでしたが,プロジェクトや仕事自体は非常にやりがいがあり楽しいので,毎日もりもり働けています。

STCや世銀の雇用について質問のある方がいらっしゃれば,コメントに質問をお願い致します。