前回の記事で,世銀JPOの採用プロセスと書類選考対策について説明しました。
今回は一次面接について,行うべき対策,また私が経験した実際の面接を詳細に書いていきます。
ググっても絶対に出てこない内容なので,JPOに応募する方は是非参考にしてみてください。
面接に関する下調べ
一次面接がどういったものか知るために事前にJPOの説明会に参加したり,JPOの先輩に話を聞いたりしました。
面接の形式
- 面接官: 世界銀行東京事務所に在籍する職員の方3~4人
- 場所: 世銀東京事務所 (現地に行けない場合はWebex)
- 時間: 20-30分程度
- 言語: 英語
一般に,ビデオ面接より対面面接の方が相手の表情など見えてコミュニケーションが取りやすく,審査にも有利になります。説明会でお会いした現役JPOの方は「DCで働いてたけど一次面接のために日本に一時帰国した」と仰ってました。
面接の内容
- 簡単な自己紹介から始まる
- 面接官1人につき1つ,よくある一般的な質問をしてくる(苦労した経験など)
こちらはJPOの先輩に個人的に伺った話です。「1つの質問に答えたあと面接官から追加の質問があるわけでもなく,リアクションも特になかった。機械と話してるみたいだった。」と仰ってました。
面接の対策
自己紹介
どこの国の面接でも共通ですが,最初に簡単な自己紹介をするように言われます。いわゆる"Tell me about yourself"です。
面接時間はたったの20分なので,第一印象を覆えすことは難しいです。なので,最初の自己紹介で面接官に「あ,こいつできる!!」と思わせることが非常に重要です。私は以下の対策を行いました。
- 1-2分で話せるように,Present - Past - Futureの形で自己紹介を構成する。
- 話す内容のスクリプトを作成する。
- スクリプトをネイティブに見せ,表現を直してもらう。
- 一度も詰まらずに超流暢に自信満々な感じで言えるまで何度も練習する。
気が狂いそうになるほど練習しました。
質問への対策
質問への対策方法は,世銀の日本人の方が作成した面接対策資料WBG INTERVIEW GUIDE2018を熟読すること,これ一択です。こちらの資料には
- Behavioral Interview
- Panel Interview
- Phone Interview
における注意点や頻出の質問,また準備の仕方など面接対策に必要な要素が全て入っています。この資料を熟読し
- 頻出の質問に対して,SAR(Situation-Action-Results)で対応できるように予め回答の大枠を用意しておく。
- 結論から言うことを心がける。
- 頭の中で面接をイメージして独り言で何度も何度も練習する。
- 誰かに頼んで模擬面接をする。
模擬面接は意外と大事です。独り言だったら上手く喋れるけれど,人が目の前にいると緊張して流暢に言葉が出ないことがあり得るからです。
ビデオ面接の対策
友人などに手伝ってもらい,本番と同じ環境を事前にセッティングすることをオススメします。私の場合,本番と同じ服装,部屋,パソコン,通話ソフト(Webex)を用意し,以下の点を確認しました。
- 自分の表情が伝わり,かつ綺麗に見えるカメラの画角
- 相手の声がイヤホンで問題なく聞こえるか
- マイクで問題なく相手に声が届いているか
印象良くするために
「自信がありそうに見えること」 + 「この人と一緒に働きたいと思ってもらえること」が重要です。以下のポイントは必ず意識した方がいいです。
- アイコンタクトを心がける。ビデオ通話ならカメラを見つめる。
- 姿勢をよく保つ。
- 喋るときは常に笑顔。常に爽やかに,にこやかに。
- 予想外の質問がきても,絶対にポジティブな回答をする。
最後の点に関して,例えば面接官から「〇〇の経験はあるか?」と聞かれたとして,あなたに経験がなかったとしても,ポジティブに「まだその経験はないけど,採用されたら是非やってみたい。すごく興味があります。勉強したいです。」と回答すれば印象がよくなるはずです。
実際の一次面接
私の一次面接は日本時間2019年4月25日の朝9時からだったのですが,ワシントンDCにいたのでDC時間の4月24日夜7時からWebexで行いました。
面接の大まかな流れ
- 司会進行の方が日本語で面接時間などを説明したあと面接開始(ここから英語)
- 面接官の自己紹介
- 私の自己紹介
- 面接官3人が1つずつ用意していた質問を聞いてくる
- 逆質問タイム
全部で25分くらいだったかと思います。
3人の面接官
面接は3人の面接官の自己紹介から始まりました。皆さん50代くらいで,若い頃ワシントンDC本部で働き,その後東京事務所に移られた方々でした。
- 男性: 公衆衛生が専門
- 女性: 人事とLeadershipが専門
- 男性: 金融が専門,世銀で20年以上勤務
面接官の皆さんは表情も口調も優しく,とても話しやすかったです。
私の自己紹介
練習通り超流暢に話すつもりだったのですが,いざ面接官を前にすると緊張して若干しどろもどろになりました。無事に用意していた内容は全て伝えられました。笑顔でカメラを見ながら話すことを終始心がけていました。
1つ目の質問
1つ目の質問は「JPOになったらTORに書かれているdutyを遂行する必要がありますが,あなたはできますか?」でした。
TORに書かれているdutyを1つずつ列挙しながら,私の職歴とスキルで遂行できることを丁寧に説明しました。自己紹介で話した内容とかなり被ってました。
2つ目の質問
2人目は女性の面接官の方だったのですが,用意していた質問の前に「興味本位なんですが,なぜ新卒でワシントンDCに来たのか気になってます」と笑顔で尋ねられました。世銀のSTCのポジションを偶然見つけた話を簡単に説明しました。
メインの質問は「仕事で難しい場面をどう乗り越えてきたか,具体的に教えて下さい」でした。 私からは「日々の仕事で専門の違う人に機械学習の手法や結果を説明するのが難しく日々苦労しているが,***して乗り越えている。」のような答えをしました。
3つ目の質問
3つめは「TORにある"データ分析"について詳しくないんですが,RCTなしでどうやって政策の効果を測定するんですか?」でした。
よくある一般的な質問だけ聞かれると想定していた私は,まさか専門的な質問が来るとは思ってもおらず,若干狼狽えました。が,普段から専門外の人に因果関係を調べる方法については説明する機会があったので,冷静に説明しました。ただ私が一方的に喋るというより,面接官の方と楽しく会話する形になっていました。
逆質問タイム
3つめの質問への回答が終わった後に司会の方が「もし質問があれば日本語でどうぞ」と仰ったので,「無事この面接をパスしたら次は最終面接が待っているのですが,今回の面接で私に不足している点や改善するべき点があれば教えて下さい」と聞きました。最強の逆質問として有名なやつです。以下の回答を頂きました。
「他の応募者たちはもっと練習している。あなたよりもっと流暢に堂々と話している。もっと練習したほうが良い。」
「緊張しているのが手に取るようにわかったから,緊張を和らげる方法を何か探したほうが良い。」
面接の感想
面接官の英語に関して,特にネイティブらしい表現があるわけでもなく,イントネーションも日本語訛りという印象でした。日本人の私にとっては聞き取りやすく好都合でした。
面接の雰囲気に関して,事前に先輩からは「機械のような面接」と伺っていたのですが,実際には意外と楽しく会話が弾みました。私が一次面接を通過できたのは,皆さんに「この人となら一緒に働きやすそう」と思ってもらえたからかもしれません。
反省点
- TORとCV&CLを印刷して持って行くべきでした。TORの内容について聞かれた時すこし困りました。
- よくある一般的な質問だけ用意するのではなく,自分の専門について専門外の人に分かりやすく伝える訓練をもう少し行えばよかったです。
終わりに
以上が世銀JPOの一次面接対策と,実際の面接の体験談でした。
こんなに詳細に面接について書いている記事は見たことないので,JPOに応募する方に役立てば嬉しいです。質問のある方はツイッターのDMで送ってください。
次回は世銀JPOの最終回記事,最終面接についてです。