前回の記事で,世銀のJPOがどういったポジションなのか説明しました。
今回から3回の記事に渡って,私が経験した世銀JPOの採用について書いていきます。まず今回は採用プロセスと書類選考についてです。実際のカバーレターも公開します。
JPO採用までの流れ
応募から採用までに4つのステップがあります。
- ウェブエントリー
- 書類選考: 履歴書(CV)とカバーレター(CL)
- 一次面接 (世銀東京事務所の職員と面接)
- 最終面接 (DC本部のHiring Managerと面接)
倍率
私が上司から聞いた話ですが,毎年倍率は以下のような感じらしいです。
- 書類選考: 大体30人応募で10人通過
- 一次面接: 10人中3人通過
- 最終面接: 3人中1人だけジョブオファーを頂く
私の経験: 2019年の採用日程
2019年 | イベント |
---|---|
1月某日 | 世銀ホームページの募集要項を確認 |
2月14日 | ウェブエントリー |
2月18日 | 世銀からメール - 書類選考(CVとCL)の案内 |
3月28日 | CV&CL提出 |
4月12日 | 世銀からメール - 書類選考の合格通知 |
4月18日 | 世銀からメール - 一次面接の日程通知 |
4月25日 | 一次面接 (Skype) |
6月4日 | 世銀からメール - 一次面接合格通知 |
6月10日 | 最終面接 @DC本部 |
6月27日 | Job offerメール |
9月3日 | 勤務開始 |
最初のエントリーからジョブオファーを頂くまで約4ヶ月かかりました。各4つのステップの間はそれぞれ1ヶ月ほど時間が開いていたので,十分に準備する時間がありました。ただ,一次面接の合格通知から一週間後に最終面接があると知らされた時はかなり焦りました。
採用で重要視されるポイント
専門性です。募集要項(TOR)に書かれている専門的なスキル・経験を満たしているかどうか,専門的な業務を遂行できそうかどうか,これらが最も重要視されます。
私が応募したTORはこちらです。
CVとCLの対策
履歴書(CV)は所定の形式のWordファイルを埋める必要があります。埋める項目は一般的なCVと大きく変わりないです。一方でCLは自由形式ですが,A4一枚で書くのが一般的です。CVとCLの書き方はググれば無限に記事が出てくるので,特に意識すべき項目だけお伝えします。
誰が書類審査を行うのか?何を意識して書くべきか?
書類選考の審査を行うのは東京事務所にいる日本人(複数)です。審査員の専門分野はバラバラで,あなたの応募する枠の専門的な業務を理解しているわけではありません。したがって,書類審査の判断材料は「TORに記載された専門性とあなたの専門性がどれだけ一致しているように見えるか」です。なので「TORで用いられている専門用語を積極的にCVとCLの中に取り入れること」が非常に重要になってきます。そうすることで審査員の方も「この専門よくわかんないけどTORとCVで同じ専門用語使われてるし,この人合ってるかも」となるはずです。
何度も添削してもらうこと
CVとCLを書いた後,色んな人に見てもらい,フィードバックを貰うことをオススメします。私の場合データ分析のポジションへの応募だったのですが,以下の方々にTORとCV&CLを読んでもらいフィードバックを貰いました。
- データサイエンティストの友人
- 欧米大企業の人事の経験がある友人
- 世銀のSeniorレベルの上司
- ネイティブの友人の英語チェック
私の履歴書
個人情報満載の実際の履歴書をここで公開するのは気が引けるので,職務履歴に何を書いたのか表にしました。表を右側にスライドできます。
会社 | 場所 | ポジション | 期間 | 業務/成果 |
---|---|---|---|---|
世界銀行 | ワシントンDC | STC | 1年 | 機械学習と衛星画像を用いたスラムの推定 |
某小売大手 | 東京 | 業務委託 | 1ヶ月 | 社内データサイエンティストチームに対する機械学習の講習 |
IBM Research | 東京 | 学生研究員 | 1年 | 高齢者の会話データから認知症の兆候を発見する研究,論文執筆・特許出願 |
慶應義塾大学 | 東京 | リサーチアシスタント | 3年 | インドの家計調査データを用いた研究 |
某5大商社 | 東京 | インターン | 3週間 | ニューラルネットを用いた電力市場の価格予測 |
IBM Singapore | シンガポール | インターン | 1ヶ月 | 部品調達の最適化問題の設定とアルゴリズムのコーディング |
Oakland Digital | サンフランシスコ | インターン | 1ヶ月 | ウェブサイトの立ち上げ支援: 広報・カメラマン |
私は大学院を卒業してからフルタイムでの実務経験が1年しかなかったのですが,JPO最低条件の実務経験2年を満たすために,リサーチアシスタントやインターンなどパートタイムの経験も加えることで,実務経験の欄を膨らませました。
実際の業務・成果を書く欄には,データや手法など専門用語を使い詳しく記載しました。
私のカバーレター
カバーレターは個人情報を隠して公開します。こちらです。大きく分けてパラグラフは4つ,以下の構成です。
- 志望動機 +「私を採用しなきゃ損するよ」くらいのニュアンスの自信
- 経験その1: 修士課程における研究
- 経験その2: IBMにおける研究
- 経験その3: 世銀のSTCとしての業務と成果
TORに家計調査データの解析や機械学習などに関する記載があったので,特にそれらを意識して書きました。
おまけ
- MindSumo
- 他人のCLが大量に見られるウェブサイト。World Bankと検索すれば幾つかでてくる。
- Udemy
- CV/Resume, Cover Letter: get into the United Nations
- 国際機関に特化したキャリアコンサルタントがカバーレターを添削してくれるサービスがあると聞いたことがあります。探してみてください。
終わりに
以上が私の世銀JPOの採用プロセスと書類選考対策でございました。何か履歴書やカバーレターについて質問のある方がいらっしゃれば,ツイッターのDMでご連絡ください。
次回の記事ではJPOの一次面接について書いていきます。